巨人から移籍の長野は実質的な広島史上初の「FA獲得選手」
広島から巨人にFA移籍した丸佳浩の人的補償として、巨人から長野久義が広島に移籍することになった。同じく炭谷銀仁朗の人的補償で西武に移籍した内海哲也に続いて、巨人生え抜きの大物選手がまたも他球団に流出した(プロテクトから外れていた)わけだから、巨人ファンの失望と衝撃は相当なものだろう。
一方、広島側に立ってみれば、丸の退団はあったにせよ、長野クラスの大物選手が他球団から移籍してくるというのは大きな出来事だろう。思えばFA制度が導入されて以降、広島は川口和久に始まり、江藤智、金本知憲、新井貴浩ら、生え抜きの中心選手を何人も手放してきた。黒田博樹と前田健太はMLB移籍だが、自前で育成した中心選手を全盛期バリバリのころに失うという意味では同じだ。そう考えると、広島は大きな戦力ダウンには慣れているという見方もできる。その戦力ダウンによって長期低迷していた時代もあったが、近年では持ち前の育成力を武器に常勝球団にのし上がってきた。
しかし、その逆の戦力補強になってくると、広島が他球団の大物選手を獲得したというケースは非常に少ない。それもそのはず、かつては球団の経営方針によりFA戦線に乗りだすこと自体がなかった。近年はその方針も変化し、2009年には日本ハムからFAした藤井秀悟、翌10年には横浜からFAした内川聖一の調査・獲得に参入したこともあったが、いずれも成功していない。