1回戦負けもある 大坂なおみは全仏オープン“静観”の可能性
今年の女子は本命が見えない。4月14日現在、18大会の優勝者がすべて違う異様な荒れ模様。BNPパリバに勝った18歳のビアンカ・アンドレースク、マイアミを22歳で制したアシュリー・バーティ、ベリンダ・ベンチッチら若手が目立つとはいえ、問題はライバルよりも己の環境だろう。
全豪優勝後にコーチを解任、昔のコーチから訴訟問題が出されてゴタゴタしたかと思うと、4月になって突如、ナイキとのウエア契約を発表した。アディダスとは全米優勝後に年間9億5000万円の契約が話題になり、3月まで着ていたのにライバル会社への心変わり……アディダスは同じ日に人気歌手ビヨンセとの契約を発表するなど、シーズンの最中らしからぬコート外の騒ぎだ。ハイシーズンに向け、撮影などに振り回されたはずで、練習に集中できた環境とは思えない。
こうしたことも“シンデレラ2冠”の宿命、そう開き直ったのではないか。21歳の若さだから焦ることもないし、連続Vにこだわる意味もない。今年の全仏、ウィンブルドンは軽く流し、シーズン後半の得意のハードコートから集中しようという思惑だろう。慌てず騒がず、ましてやテニスの本筋ではないオリンピックに惑わされず、しっかり足元を固める時期だ。
(スポーツライター・武田薫)