リオ五輪マラソン金キプチョゲ 2時間切りに再挑戦の真意
確かにキプチョゲは17年5月に非公認で2時間0分25秒を出した翌年9月、ベルリンで世界記録を更新している。
■達成すればその後も続々と
さらに児玉氏はこんな「効果」もあるという。
「1950年代までは、1マイル(約1・61キロ)走で4分を切るのは医学的にも不可能といわれていた。ところが54年にロジャー・バニスターという英国の選手が世界初の3分台(59秒04)で走ると、それから約3年の間に15人ぐらいが4分を切った。これは選手たちに共通していた『4分切りは絶対に無理だ』というメンタルバリアが外れたからです。キプチョゲが2時間切りを達成すれば、能力の高いケニアやエチオピア勢からは何人も『達成者』が出てくるはずです」
スケールは小さくなるが、国内でも昨年2月、設楽悠太が16年ぶりにマラソンの日本記録を更新(2時間6分11秒)した約7カ月後には、大迫傑がシカゴで2時間5分50秒の日本新記録を出したのは記憶に新しい。
来年の東京五輪で日本人がキプチョゲに勝てるとは思わないが、五輪連覇を狙うキプチョゲでもここまでやっているのだ。地元五輪で惨敗が許されない日本選手も、極端なスピードや酷暑のレースを体験してみるのも一つの手ではないか。