連投がニュースに…大船渡・佐々木の成長阻む周囲の過保護
163キロのストレートを投げて、なおかつコントロールもいい。プロ野球どころか、メジャー球団のスカウトもゾッコンだから、力があるのは間違いない。しかし、高校生活最後の夏へ向けたこの時期、連投したことがニュースになるドラフト1位候補がいただろうか。
12日、一関一との練習試合に登板した大船渡高(岩手)の右腕・佐々木朗希のことだ。
この日は4番・右翼で先発出場。八回から2回を投げて2安打、3奪三振、1死球、1失点だった。前日は紫波総合との練習試合に先発、今季最長の7回を投げ、2安打無失点、16奪三振。連投は今年初だ。
今週末から始まる春季岩手大会や、甲子園出場のかかる夏の地区予選を見据えてセーブしながら投げているというが、ここまで過保護なドラフト候補も珍しい。
プロ球団のさるスカウトがこう言った。
「金の卵を潰したら大問題と、学校も野球部の国保監督もピリピリ。本人や周囲への取材はもちろん、佐々木に関する質問を許可なく部員にすることすら禁止だと聞きました。トレーニングや調整にしてもほぼ本人に任せられているし、佐々木に関しては本当に腫れ物に触るような扱いですからね。あれでプロでやっていくだけの体力、肩肘のスタミナがつくのかどうか。まだ体が出来上がっていないという事情はあるにせよ、高校生の時期に多少は無理をさせることも必要ですからね。大切に育てたいという周囲の気持ちが、鍛錬を妨げている気がして仕方ないのです」
2年生までに実績を残した投手が、肩肘を休ませるためにこの時期、無理をさせないというなら理解できる。しかし、佐々木はまだ、確固たる実績もなく、連投の経験もほとんどない。大事に育てたい気持ちが、結果として贔屓の引き倒しになる可能性もあるというのだ。