サニブラウン 東京五輪決勝への“宿題”は「スタート&歩幅」
参考になるのは、前回のリオ五輪の記録だろう。決勝に進んだ8人の準決勝の時計を見ると、ウサイン・ボルトの9秒86がトップ。ワーストでも、ヨハン・ブレークとトレイボン・ブロメルの10秒01だった。サニブラウンが予選を通ったと仮定すれば、同組で走るメンバーのレベルにもよるが、準決勝通過条件の2位以内に入るためには9秒95前後の時計は出したい。
この日は、カギを握るといわれるスタートは悪くなかった。それでも反応時間(リアクションタイム=RT)は8人中7番目の0.153秒だった。
リオの同種目で大会史上初の3連覇を達成したボルトもスタートは得意ではない。リオ決勝のRTは8人中2番目に遅かった(0.155秒)。しかし、195センチの長身からライバルより平均で4歩ほど少ない歩数(41)と60メートル以降の超人的なスピードで世界の頂点に君臨した。
6月27日付の本紙でもサニブラウンのRTに触れているが、188センチと大柄でも現在の歩数は43歩(2年前は44・7歩)。リオ五輪銅メダルの記録は9秒91(ドグラス=カナダ)。歩幅(ストライド)をさらに広げ、トップスピードも高めつつ、課題のスタートの反応時間も短縮すれば、サニブラウンに奇跡のメダルも見えてくるのだが……。