テストマッチ3連勝で絶好調も「まだ不透明な部分がある」
あの場面で彼らはキックではなく、よくぞスクラムを選択したと思います。国際試合で格上と戦うに当たり、あそこではペナルティーキックを選択して同点に追い付くのがセオリーです。しかしスクラムを組んでトライを狙い、あくまで逆転勝利を目指しました。
エディHCは、本番に臨む過程の中で選手たちに相当なハードワークを求めて強化を続けましたが、その苛烈な練習で培った自信があったからこそ、選手たちは勝負したかったのだと思います。
彼らは何も失うものはなかったし、あの選択は正解だったと思います。
最後にカーン・ヘスケスにボールが渡ってトライが決まりました。その瞬間、スタジアムは大興奮に包まれ、日本から来た多くのファンが涙を流して喜びました。ところが、僕は不思議と涙が出ませんでした。どうして泣けなかったのでしょう?
僕はラグビーが大好きです。本当に大好きなのですが、やはりファンではないんですよ。
あの瞬間、心の底からうれしかったけど、心のどこかに「なぜ自分はピッチにいないのだろう?」という気持ちがありました。僕の頭の中の半分は、今もラグビープレーヤーなんだと思います。