ラグビーW杯日本代表メンバーに見る多様性尊重の具現化
ラグビーW杯は日本代表の快進撃のおかげで空前の盛り上がりを見せている。大会直前までの静けさを心配していた私を嘲笑うかのようだ。しかし、冷静に日本代表メンバーを見てみると31人中15人が海外出身で、そのうち7人は外国籍の選手である。それでも日本代表として日本のために戦うチームを、日本人は一丸となって必死に応援する。このラグビーの行き方に「スポーツで世界平和を構築する」というオリンピズムのヒントが包含されていると感じた。
ラグビーの思考を敷衍すれば、自らが代表したい国を選び、自らが愛するスポーツを通じて、その国のために戦うという状態が生まれる。代表になりたいチームを自分の国籍にかかわらず自分が選び、そのチームの理念のために戦う状態が実現できれば、その時点で既に国境を超えた個人と個人のつながりが生まれる。
■卓球のピンポン外交も
実はこのような主義はラグビーだけのものではなく、例えば卓球も古くからそうである。1926年の国際卓球連盟(ITTF)創立以来、加盟は国単位ではなく、協会単位としている。一人一人の選手が集まってつくった協会が、ある地域の卓球活動を統括していれば、その地域が国境を超えてもいいし、国を分けてもいいことになっている。