阪神・矢野体制2年目突入…早くも燻り始めた「3つの火種」
中田無償トレードは矢野監督のコネ
10月26日、阪神はソフトバンクから中田賢一(37)を無償トレードで獲得した。
通算100勝をマークするベテラン右腕の阪神入りが、チーム内で波紋を呼んでいる。
「そもそもフロントは、獲得に乗り気ではなかったそうです」
とは、パ球団の編成担当。
「ソフトバンクは中田を一軍戦力として考えておらず、今季年俸6000万円から、減額制限を超えるダウン提示をしていた。中田が受け入れなければ、コミッショナーに調停を申し入れるか、自由契約を選択せざるを得ない。そんな中、阪神が無償トレードを持ち掛けた。しかし阪神は、功労者の鳥谷とメッセンジャーが退団。ドラフトで高卒選手を5人も指名するなど、若返りを図ろうとしている。ロートルの獲得はその方針にそぐわない。実は、中田の奥さんは在阪キー局の元アナウンサーで、矢野監督はその局で解説者を務めていた。中田サイドが矢野監督に頼み込んだともっぱらです」
中田の成績次第では矢野監督の求心力が低下しかねない。
■OBが「中日化」に目くじら
「いくら何でも中日の人間に頼り過ぎや」
中日色を強める矢野監督に対し、阪神OBが憤りを込めてこう言う。
昨オフの監督就任時に中日時代の先輩である清水ヘッドを招へい。このオフは井上打撃コーチに加え、山本昌氏に臨時コーチをお願いした。トレードで獲得した中田も元中日だ。
その一方で阪神OBはというと、浜中打撃コーチと伊藤トレーニングコーチが退団。掛布オーナー付シニアアドバイザーも、任期満了で阪神を去った。
「清水、井上、山本昌と言えば、矢野と並んで星野仙一の薫陶を受けている。“星野イズム”の注入と言えば聞こえはいいが……」と、古株のOBがこう言う。
「捕手出身の矢野は阪神での現役時代、下柳(解説者)、福原(投手コーチ)、藤川ら投手とは良好な関係を築いたが、野手とはそこまでの結びつきはなかった。だからか、コーチ陣の中では、福原とはうまくやっている半面、浜中が退団したように野手担当コーチとのコミュニケーションがうまく取れていない印象がある。外部の血を取り入れる以上は、結果で応えてもらうしかない」
OB内では生え抜きの監督を望む声が多い。外様の矢野監督は来季、外野の雑音に悩まされるかもしれない。