広島1位・森下暢仁は“スーパー幼児”3歳で自転車を乗り回す

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故障のたび肉体改造に励む

 最速155キロの礎は、幼少の頃の遊びにあったのだ。さらに足も速かった。子供の頃の運動会の徒競走は負けなし。中学3年時には駅伝大会に駆り出され、高校時代は50メートル6秒2。高い身体能力を誇り、大分商では当初、控え投手をやりながら、外野、三塁も守った。最上級生になってから本格的に投手となったが、遊撃も兼務するバリバリの「二刀流」。高校3年の3月には投手歴1年弱にもかかわらず、当時の自己最速148キロをマークするなど急成長を遂げた。

 中学入学時、シニアやボーイズといった硬式クラブチームか中学の軟式野球部に入るか悩んだ。美生さんがこう明かす。

「硬式のチームもいくつか見学に行ったんです。でも、母親が球場でウグイス嬢をするとか、月謝が6000円で年会費は2万円とか、そのほかにもチーム指定の用具の購入費やもろもろお金がかかるらしく、『塾くらいかかります』と言われまして……。当時、姉(夕稀さん=23)がバドミントン部だったし、暢仁だけのためにそれは無理じゃないかと。暢仁も『友達と一緒がいい』と言うので、中学の軟式野球部でやることにしたんです」

 大東中3年時には軟式の九州大会で優勝。選択は間違っていなかった。それでも決して順風満帆だったわけではない。野球人生には常にケガがついて回った。

 小、中で右肘を痛め、大分商2年秋にエースになると、11月中旬から右肩第1肋骨に痛みが出て、12月には左肩第1肋骨に派生。病院で診察を受け、骨折が判明した。明大1年春にリーグ戦デビューを果たしたものの、同年の新人戦で右肘を骨折。力さんが言う。

「高校の日本代表の時から知っている郡司君(慶大=中日4位)に投げた時にやっちゃったみたい。ライバルだから力んだんでしょう」

 3カ月間はボールを投げられなかったが、その期間をムダにしなかった。体幹トレーニングなどに励み、体重は5キロ増の73キロ。故障のたびに肉体を改造し、パワーアップしてきた。

「やっと治って2年春から先発を任せてもらったのに、全日本の試合で肩を痛めて秋のリーグ戦は投げられませんでした。本人が一番もどかしかったと思います。順調なようで、ここまでケガとの戦いでした。プロでは故障しない体づくりとケアを学んで欲しいですね」(力さん)

 弟・颯太さん(19)は現在、東都大学リーグ1部の国学院大1年。身長180センチの大型遊撃手として期待されている。

 イケメンエースが広島V奪回の使者になる。

▽もりした・まさと 1997年8月25日生まれ、大分県大分市出身。明治北小3年から明治少年野球クラブで野球を始める。大東中3年時に軟式の九州大会優勝。大分商では1年夏に背番号11で甲子園に出場。3年夏はU18W杯で10回を投げ無失点。明大では大学日本代表として2017年ユニバーシアード金メダル、18年ハーレム国際大会、19年日米大学野球選手権優勝。4年時には全日本大学選手権でエースとして38年ぶりの日本一。180センチ、76キロ。右投げ右打ち。今月7日に、広島と契約金1億円プラス出来高5000万円、年俸1600万円で仮契約を結んだ。


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