渋野日向子「異質の人間力」が女子ツアーをガラリと変えた
■大声で「ありがとう」
渋野にはギャラリーを引きつける不思議な魅力がある。
メジャーの全英女子オープンに優勝する前の、資生堂アネッサレディス最終日のことだ。
今ほど熱狂的なファンは多くなく、ペアリングは13アンダー首位発進のイ・ミニョンと最終組。2位渋野は2打差を追う展開だった。
7月に入ったというのに小雨の降る寒い日で、2人とも1番からパーセーブが続き、最終組について歩くギャラリーも静かに試合を見守っていた。
そして4番ホールで渋野がティーショットを打った直後に、小さい男の子が大きな声で「ナイスショット」とそれまでの静寂を突き破る声援を送った。
すると、すかさず渋野もその子に向かって「ありがとうっ!」と大声で返した。
勝てばツアー2勝目で2160万円の大金も手に入る。
普通ならピリピリムードが漂うさなかに、渋野が見せたほのぼのとした対応は女子ツアーでは珍しい。