新人の親御さんの勘違いを正すのもスカウトとの仕事だ
「おまえさぁ、このテーブルの選手の知り合いか?」ってね。
■ゴールではなくスタート
部長に担当する選手の父親の自慢話が鼻について耐えられなくなった顛末を耳打ちすると、「最近の親はそういうタイプが多いからな。後でオレがちゃんと話をするから」って言う。
翌日――。部長は親御さんたちをひとつの部屋に集めて話をしてたっけ。プロ入りはスタート地点に立ったに過ぎないこと、勝負はこれからということ、入団して3~4年でモノにならなければクビのシビアな世界であることなどを話したら、前日、子供の自慢話をしてた父親もさすがにシュンとして下を向いてたっけ。
「OBにプロ野球選手がうじゃうじゃいるような学校から来た新人の親なら、プロ入りがスタート地点に過ぎないことを理解してる。けど、たいていはそうじゃない。我が子の晴れの入団発表の席を人生のゴールと勘違いしている親が最近は多いからな。親が勘違いしてたら、子供だってそんなもんだと思っちまう。だからこそ選手の親にはクギを刺しておく必要があるんだ」