野村克也さんの“遺言”「このままじゃプロ野球はダメに」
「もうオレをボヤかせるなよ」
名将が逝った。
野球評論家の野村克也氏が11日未明、虚血性心不全で死去。東京・世田谷区の自宅で倒れているところを家政婦が発見、救急車で病院に搬送されたものの、午前3時半に帰らぬ人となった。享年84。訃報を受けてキャンプ地の沖縄から緊急帰京した、野村氏の長男で楽天の一軍作戦コーチの克則氏(46)は、「急だったので、実感もなく、受け入れられないところがある。偉大な存在で、その息子であることを誇りに思います」と、言葉を詰まらせた。
「2017年12月に最愛の妻・沙知代さん(享年85)を同じ虚血性心不全で亡くしてから、見るからに元気を失っていたから周囲はみな心配していました。テレビや野球解説の仕事は続けていたものの、足腰が弱ってしまい、移動は車いす。先月20日に都内で行われたヤクルトOB総会、翌日の金田正一さんのお別れ会にも車いすで出席して、『オレももう長くない』と冗談半分で口にしていた。沙知代さんが亡くなってからは、家政婦さんと世田谷区の自宅の敷地内に建てた家に住む克則と夫人が身の回りの世話をしていました」(ヤクルト関係者)
長時間の自力歩行は厳しくなっていたが、頭と口は健在だった。理路整然とした語り口に記憶力も抜群。話を聞きに行くたび、「このままじゃプロ野球はダメになる」と繰り返し、日本球界の未来を本気で案じていた。
「ボヤキのノムさんがますますボヤキのノムさんになっている。もうオレをそんなにボヤかせるなと言いたいんだよ」
開口一番、そう言って30分以上にわたって持論を展開したのは2年半前。
「指導者にも選手にもプロ意識がない」「野球の本質、勝負の本質、そういうものが試合からまったく伝わってこないでしょ」「監督、コーチが本物の野球を選手に教えてないからだ」「今の12球団の監督に、野球とは?勝負とは? と聞いてみたいね。答えられる監督が何人いるのか。答えられないんじゃないか」