巨人山崎氏 痛みの訴えもトレーナーはツバつけときゃ治る
2008年から12年間にわたって独立リーグのコーチ、監督を歴任し、今季から古巣巨人の巡回打撃コーチに就任した山崎章弘コーチ(58)が振り返る。
「80年の春のキャンプに行ったら、テレビに映っている人ばっかり。長嶋さん、王さんがいるんですから。長嶋さんは監督でその年限り。王さんも現役最後の年でした」
育英高(兵庫)時代は公式戦通算16本塁打。強打の捕手として名を馳せ、1979年のドラフト2位で巨人に指名された。
「サブグラウンドで30分走って、1位だけが抜けられるという地獄のメニューがあった。抜けられなければ何時間も走り続けないといけない。それと、捕手の防具と剣道のこてを装着したフル装備の状態で、10メートルの至近距離からノックを浴びせられる練習も怖かったですね」
これが巨人かとヘトヘトになって宿舎に帰ると、新人には別の仕事が待っていた。
「先輩全員分の大量のスパイクをひたすら磨くんです。僕は捕手だったので、先輩のレガーズを水で洗って干すという仕事もありました。用具の手入れは、今は球団にやってくれる担当者がいますが、当時は新人の役割でした。用具のありがたみが分かるので、そういう経験は決して悪いことではないと思います。今の選手は新人時代から他人に手入れされるのが当たり前になっていて、用具のありがたみを感じることがなくなっていますから」