自画自賛のMGCで露呈した陸連の無知とマラソン界の問題点
■厚底の現実を知らなかった
前回のリオ大会の標準記録は2時間19分。なぜ一気に7分半も短縮されたかの論議はスルーされたが、いまなら誰でも分かるだろう。厚底シューズの普及によるマラソンの変化を陸連は知らなかったのだ。世界選手権(9月27日~、カタール)軽視の日程も国際的非常識で、井の中の蛙と見られても仕方がない。
次に飛び込んだのが札幌移転だ。東京の夏のマラソンが危険という指摘は当初からあったが、選手の健康を棚に上げて合理的対策を示せなかったし、IOC指令を頭越しとする批判も当たらないだろう。日本陸連の横川浩会長はWA理事で、直前の世界選手権の理事会にも出席していた。知らなかったは通らない。
東京マラソン以降の3大会は、イベント自粛という政府要請を退けて強行された。びわ湖毎日はMGCファイナルチャレンジとうたい、大迫傑の記録(2時間5分29秒)を破れば逆転で代表が手に入るレースだったが、ペース設定は1キロ=3分で優勝予想タイムは2時間6分35秒。“チャレンジ”は初めからの偽看板、しかも選手たちが冷雨に震える中で機器の故障で10分もスタートが遅れる失態があった。政府要請を無視してまでやる大会だったのか。