力士感染の波紋…基礎稽古と軟禁生活で若い衆メンタル心配
体より心が心配だ。新型コロナウイルス感染者が出た大相撲。5月場所は中止濃厚となり、各部屋も外出禁止をこれまで以上に徹底させるなど、感染防止に努めている。
とはいえ、新型ウイルスは潜伏期間が長く、感染しても自覚症状が出ないケースも多い。「まさか隣のこいつが……」と疑心暗鬼になる力士もいるだろう。
親方のひとりは「すでにウチは申し合い、つまり相撲を取る稽古はやってない」と、こう話す。
「相撲を取るイコール濃厚接触ですからね。相撲は稽古でも真剣にやらないとケガをする。集中力を欠くわけにはいかない。そもそも、夏場所(5月)が中止の危機とあれば、いくら実戦に近い稽古をしても身が入りませんよ」
同じように相撲を取らなくなった部屋は少なくない。その代わり、四股やすり足、テッポウ、筋トレなど基礎稽古に時間を費やしている。
別の親方が言う。
「ウチの部屋では個々の力士が距離を取りながら稽古をしている。ただ、これがどこまで持つか。なにせ稽古の中で一番しんどいのが、基礎稽古ですから。相撲は取れず、ひたすら四股、ひたすらテッポウをしなければいけない。普段の稽古よりもはるかに疲れるし、精神的にもしんどい。周囲で同じことしている兄弟弟子がいなければ、いつサボってもおかしくありません。そうでなくても、ストレスはたまる一方です。若い衆は大部屋だからプライベートの空間がほとんどないし、外出もできない。本当にかわいそうですよ」