東京五輪が簡素化を検討 規模縮小なら“標的”になる種目は
一般道路を使うマラソンや競歩は他の競技とは、競技運営などが大きく異なる。
陸上関係者が言う。
「前回のリオ五輪のマラソンは男女とも約160人が参戦。競歩も80人ぐらいが密の状態からスタートする。マラソンは競技役員やボランティアも多数必要だし、一番の問題は沿道の応援制限が難しいことです。東京マラソンは応援自粛をお願いしても7万2000人が沿道に集まった。マラソンは札幌移転で変則周回コースになるが、それでも五輪本番なら東京以上の人は集まるでしょう。マラソン、競歩は有料観客席を設けずチケットはなしです。それだけのPCR検査をどこで、どうさばくのか」
さらに関係者は続ける。
「マラソン・競歩の札幌移転により、国際オリンピック委員会(IOC)は20億円以上の経費を負担すると聞いている。その後の世界的なコロナ感染により、IOCは、東京五輪延期に伴う追加経費や国際競技連盟や各国・地域の国内オリンピック委員会への支援に合計8億ドル(約860億円)も使うことになった。札幌移転の20億円は痛いでしょう。世界陸連は昨年、五輪の男子50キロ競歩は東京大会で最後になるという決定をした。4時間前後もかかる競技時間や若者に人気がないことが理由といわれているが、これは、試合展開が単調で長時間競技を嫌うIOCの意向が大きい。どうしても開催にこだわれば、不完全な形になるのは仕方ないが、マラソン・競歩は削減される条件が揃っているだけに心配ですよ」
昨年の世界陸上男子競歩は、50キロで鈴木雄介が、20キロでは山西利和がダブルで金メダルを獲得した。開催にこぎつけても、競技が行われなければ選手は泣くに泣けない。