野球文化の土台を腐らせるMLBの極端な“テレビマネー依存”
しかし、年7億ドル(約748億円)で契約しているESPNと3・1億ドル(約330億円)で契約しているTBSはMLBの観客動員が5年連続で減少していることなどを懸念し、慎重な姿勢に終始している。そこで同コミッショナーは、プレーオフを拡大して各社が中継できる試合数を大幅に増やすことで、更改にこぎつけようともくろんでいるのだ。
■交渉のプロ
交渉のプロである同コミッショナーは最終的に局側の要求も受け入れてESPN、TBSに関してもFOXと同レベルの上げ幅で更改にこぎつけるはずだ。それによって彼の地位は揺るぎないものになるだろう。
もっとも、MLBのシーズンをテレビ局の意向に沿ったものにつくり変えれば、公式戦に通い続ける物言わぬファンたちの離反を招く可能性がある。なぜなら公式戦が8週間しかない一方で、プレーオフが5週間も盛大に行われることになれば公式戦は前座のような存在になり下がり、感情移入して応援する対象ではなくなるからだ。同コミッショナーはカネを生まないマイナーリーガーたちにも冷淡で、1000人以上を切り捨てた。こうしたドライな姿勢は目先の決算書を見栄えのいいものにするだろうが、歴史ある米国の野球文化の土台を腐らせてしまうような気がしてならない。