著者のコラム一覧
岡邦行ルポライター

1949年、福島県南相馬市生まれ。ルポライター。第3回報知ドキュメント大賞受賞。著書に「伊勢湾台風―水害前線の村」など。3・11後は出身地・南相馬中心に原発禍の実態を取材し続けている。近著に「南相馬少年野球団」「大島鎌吉の東京オリンピック」

三菱重工退職後に不運連続 浴びるように酒を飲み肝臓は…

公開日: 更新日:

1964年東京五輪・サッカー代表 継谷昌三さん(下)

 将来を嘱望されつつも27歳の若さでサッカー界と決別し、勤務先の三菱重工業をも退職したオリンピアンの継谷昌三――。

 大学時代の友人の話によると、継谷の実家は材木商を営む旧家で、かなり裕福だったという。

 それが支えと甘えとなり、いとも簡単に三菱重工業をも退職したのかもしれない。だが、その後の人生は、あまりにも不運であり、悲惨だった。

■「商談を決めたときはゴールした気分」

 ともあれ、実家のある神戸市に戻った継谷は、まずは材木会社に職を求め、ようやく望んでいた外回りの営業の仕事に就いた。継谷は友人に言っている。

「俺には営業が向いている。サッカーと同じで毎日走り回って売り込む。商談を決めたときは、ゴールした気分だ」

 しかし、2年目を迎える頃だ。不況の波をもろに受け、会社は倒産してしまう。

「人生は長いしね。会社が倒産することもある」

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