交流試合で“甲子園クラスター”の懸念 高野連の対策に不安

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東京は練習試合も四苦八苦

 東京の高校野球関係者が明かす。

「7月5日には帝京が茨城での練習試合を自粛した。他県の高校との練習試合は了解をもらえば行うが、各学校は移動による感染リスクにシビアになっており、練習試合もなるべく東京同士、それも、独自大会での対戦も考慮して、東と西の高校で試合を組んだりと、四苦八苦しています」

 国士舘の渡辺野球部長は、「今の状況で心配はありますが、練習もガイドラインに沿って行っており、体調不良者もいない。コロナ対策と甲子園への準備を行いつつ、少しでも状況が良くなることを祈るしかありません」と話す。

■「PCR検査は絶対必要」

 甲子園に出る以上、大手を振ってプレーしたいところだが、国士舘に限らず、コロナ禍での開催に不安を抱く出場校は少なくない。

 関東の強豪校の監督は高野連の対応にこう疑問を抱く。

「このコロナ禍の中、全国から甲子園に球児が集まることに、批判をする人もいる。電車やバスで兵庫・大阪に移動して1泊し、万が一、宿泊先のホテルで感染者が出ようものなら、白い目で見られるのは間違いなく選手です。高野連は球児を救済し、思い出づくりの場をつくるというなら、感染リスクはもちろん、参加することによって批判を浴びるリスクも回避してやるべき。感染者が出た県岐阜商は部員にPCR検査をやりましたが、本来なら高野連が出場校にPCR検査を実施し、野球部と選手の陰性を証明するなど徹底したフォローが必要ですよ。プロ野球とJリーグはPCR検査を行い、相撲も抗体検査をやったうえで、開催している。安全を担保するのはもちろん、甲子園開催に対する批判から選手を守るためにも絶対に必要でしょう」

 この日の実行委員会ではしかし、実行委の一部メンバーと専門家3人で構成する新型コロナ緊急対策本部を設置し、そこで情報収集や新たな対策の検討を行うと決めるにとどまった。

 原則無観客で行われる球場には、野球部員とその保護者・家族、野球部指導者の家族(1人につき5人以内)、教職員の入場は認め、NPB球団のスカウトも1球団2人までの制限付きで許可されたが、現状では徹底した感染対策が取られているとは言い難い。

 それでも、「中止という意見は出ておりません」とは、日本高野連の小倉事務局長。甲子園クラスターの懸念が払拭されないまま、球児は聖地の土を踏むことになる。

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