甲子園に迫られる簡素化 交流試合をコロナ時代のモデルに
「こういう事態が最初で最後とは限らない。野球以外の競技の人たちも見ている」
明徳義塾の名将、馬淵史郎監督(64)のセリフだ。終息が見えないコロナ禍が来春、来夏以降の甲子園にも影響を及ぼす可能性を念頭に、今回の交流試合がウィズコロナ時代の高校野球、スポーツイベントのモデルケースになると強調する。
「今大会、なにが助かるって、資金面ですよ。1試合のみで、甲子園での観戦も部員とその保護者に限られた。通常の甲子園はとにかくお金がかかりますから」とは、出場校の学校関係者だ。東日本から出場するこの学校関係者によれば、数年前のセンバツでは1試合で3000万円近い経費がかかった、とこう続ける。
「ベンチ外の部員や保護者、学校の生徒、教員、ブラスバンド部を合わせてざっと1500人が甲子園に応援に行く。50人乗りのバスを30台チャーターして、地元から甲子園を往復するとバス代だけで1台あたり80万円。これに宿泊費を加えると1試合で3000万円は消えていきます。卒業生や地元からの寄付金は3000万円集まればいい方。勝ち進めば進むほど赤字が膨れる。常連校の間では『甲子園貧乏』という言葉があるそうですが、それを実感します」