追悼・元PL学園監督山本泰さん 連載で語った舞台裏の数々

公開日: 更新日:

 2009年、花巻東高で行った菊池との30分間の面談では、「メジャーはどんな練習をするんですか?」と純粋無垢に質問する菊池に対して、米国に行きたいという意欲、気持ちを高めてもらいたいとの思いから、あえて「日本かアメリカか、中途半端な気持ちでいるなら、日本でやった方がいいよ。アメリカに行くのなら、憧れだけではやっていけない。本気で行きたいのであれば向こうで家を買ってお嫁さんをもらって両親を呼んで、骨をうずめるくらいの気持ちがないといけないよ」と、伝えたという。

 マリナーズを選んでほしいという思いは当然あっても、山本さんは事前の調査を通じて、菊池から何が何でも米球界へ挑戦したいという確証が得られなかった。実際に「メジャーへの気持ちは五分五分」という菊池の発言があったし、菊池ほど人気と実力を兼ね備えた高校生が直接メジャー挑戦したケースはない。しかも、高校から米球界入りすれば、ルーキーリーグからのスタートとなり、過酷な環境の中で何百人という選手との競争を勝ち抜かなければいけない。

 30分という限られた面談の中で「キレイ事」ばかりを並べるのではなく、あえて「説教」をした。悩む菊池の背中を押してやりたいという山本さんの「親心」が垣間見えた。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 2

    “氷河期世代”安住紳一郎アナはなぜ炎上を阻止できず? Nキャス「氷河期特集」識者の笑顔に非難の声も

  3. 3

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  4. 4

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  5. 5

    大阪万博の「跡地利用」基本計画は“横文字てんこ盛り”で意味不明…それより赤字対策が先ちゃうか?

  1. 6

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  2. 7

    大谷「二刀流」あと1年での“強制終了”に現実味…圧巻パフォーマンスの代償、2年連続5度目の手術

  3. 8

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  4. 9

    野村監督に「不平不満を持っているようにしか見えない」と問い詰められて…

  5. 10

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…