松井への死球でナインから「そんなに嫌い?」と冷やかされ
まさかのデッドボールに、僕は顔面蒼白になりました。
2009年4月19日のこと。場所はこの年に開場した新ヤンキースタジアム。それまで使用していた旧ヤンキースタジアムが老朽化したため、敷地の隣に球場が新設されたのです。僕はこの新球場で松井秀喜と対戦しました。
僕と彼は1974年生まれの同級生。日本にいた頃から親交はありましたが、当時は交流戦もなく、練習中に談笑する機会もありませんでした。それがニューヨークで対戦というのだから、わからないものです。
僕がマウンドに立ったのは20―4と大量リードの七回。実はこの新ヤンキースタジアムで初めて投げた日本人投手が僕なんです。左打席で構える松井を見ながら、僕の脳裏には彼の直前のバッティングがよぎりました。
■厳しくいかないと…
この日の先発は右腕のカルモナ。五回に代打出場した松井は、インコースの球を右中間にはじき返していました。「こりゃあ、厳しくいかないと打たれるな」と思い、意を決して投げたのですが……。