アテネ五輪の表彰台で聞いたメロディーだけの「君が代」
プロ野球では試合直前に必ず君が代が流れ、プロの歌手が歌うこともあります。それはそれで素晴らしいのですが、遠くアテネの地で響いた君が代は格別でした。国旗掲揚台に日の丸が揚がり、静寂の中、君が代のメロディーだけが流れる。それだけなのに今までで一番、心に刺さりました。
君が代の言葉の意味とか、そういうものではありません。あの時の気持ちを何と表現すればいいのかは分かりません。ただ、「ああ、これが君が代なんだ」と。歴代の五輪メダリストが表彰台で神妙な表情になるのはこういうことだったのかと、初めて理解できた気がしました。おそらく、あの時の気持ちを感じることは、もう二度とないんでしょうね……。
帰国後は思ったよりバッシングが少ないと感じました。もちろん、銅メダルを非難する論調のメディアも中にはありましたが、多くのファンは僕たちが必死に戦う姿を応援してくれていたのだと思います。
これが凡ミスで負けていれば話は違ったでしょうけど、最後は勝って銅メダル。「よく頑張ったね」という声に、僕ら代表選手は胸を張りたいと心底、思ったのです。