ヤクルト奥川ホロ苦デビュー…怪物の現在地と収穫と課題
ヤクルトの昨年のドラフトで1位指名されたルーキー右腕の奥川恭伸(星稜)が、10日の広島戦でプロ初登板初先発。直球の最速は148キロをマークしたものの、総じて直球、変化球ともに高めに浮いたり引っかけたりでボールを制御しきれず、4番松山に2ランを浴びるなど、3回途中9安打5失点、57球でマウンドを降りた。
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「初めてのマウンドにも対応できなかったし、修正ができないままズルズルといってしまい、早い回での降板は非常に悔しいです。もっともっとレベルアップしないといけないと思いました。頑張ります」
こう話した黄金ルーキーは今後、宮崎でのフェニックスリーグに合流。来季に向けた調整を進めるという。
■2度のノースロー調整
奥川は昨夏の甲子園でチームの準優勝に大いに貢献。直後のU18W杯(韓国)でもカナダ相手に7回18奪三振と好投し、メジャースカウトの目を白黒させた。ドラフトでは巨人、阪神との3球団の競合の末、ヤクルト入りした。
そんな甲子園のスターは今季、2度のノースロー調整を強いられるなど紆余曲折を経てきた。1月の新人合同自主トレ中に右肘炎症が発覚。直後に投球禁止となり、2月末にようやくブルペン入りした。
しかし、直後にコロナ禍が蔓延し、練習すらままならない状況に。6月19日の開幕後は、ファームで1イニング限定の登板からスタート。徐々にイニング数を増やし、7月20日の楽天戦では2回3分の2を投げたものの、上半身のコンディショニング不良を発症。9月上旬のブルペン投球再開までの約1カ月間、再びノースロー調整となった。
奥川が星稜高の恩師である林和成監督と連絡を取り合ったのは、その2度目の投球禁止を言い渡されてすぐのことだった。
林監督は1月に右肘炎症が起きた際、メールで「プラスに考えて、今しかできないことをやりなさい」と激励。走り込みや体幹の強化など、ケガをしにくい体づくりに取り組む時間として活用すべし、と説いていた。その林監督が言う。
「本人は『投げられないのはしょうがないんですけど』と言っていましたが、2度のノースローによって、ここまで長い期間、投球ができない期間が続いたのは、これまでになかったこと。『現状をちゃんと受け止め、慌てずに体づくりからじっくりとやりなさい』と伝えました。投げたくても投げられないもどかしさはあったようですが、これもいい経験にしてくれたらと思います」