阪神1位・佐藤は二遊間も守れる 恩師が語る潜在能力と素顔
阪神からドラフト1位指名された佐藤輝明(21=近大)が7日、新入団会見に出席。背番号「8」のユニホーム姿を初披露した。アマ球界ナンバーワン野手として4球団競合の末に、阪神入り。大学時代は三塁が定位置だったが、阪神では主砲の大山とポジションが重なるため、外野起用が有力視されている。パワー十分の打撃に期待がかかるのはもちろん、恩師である近大の田中秀昌監督(63)は「二遊間もできる」とその守備力にも太鼓判を押す。1993年センバツ優勝を果たした上宮高監督時代から元木大介(巨人)、黒田博樹(広島など)ら多くの教え子をプロに輩出している田中監督に話を聞いた。
■二塁へ送球は1・8秒台の強肩
――佐藤が仁川学院高校3年時、プレーを見て一目惚れされたそうですね。
「6月上旬でした。雨でグラウンドが使えず、室内で打撃や守備などを見ました。スイングのヘッドスピードの速さ、パワーの素晴らしさはもちろん、まず驚いたのが肩の強さ。佐藤は捕手としてテストを受けにきたんですけど、二塁への送球タイムは1・8秒台と速かった。すぐに試合で使いたいと思いました。捕手でも良かったのですが、打撃を生かす意味もあり、1枠空いていた外野で1年生から起用しました」
――2年生から三塁へ転向した。
「(入学当時から)将来的に内野を守らせたいと考えていました。187センチ、94キロという大きな体で、走れて守れる日本人選手はなかなかいない。プレーに華もあります。佐藤のような体が大きな選手が三塁に入れば、打者はヒットゾーンが狭く見えるだろうと」
――監督は「二遊間もできる」と太鼓判を押している。実際、プロのスカウトの中には「二塁もやれる」との評価があった。
「それくらいの能力があると思っています。2年秋のリーグ戦が終わった後、二遊間でノックを受けさせると、フットワークやグラブさばき、併殺プレー時のトスなど、非凡なものがありました。3年時に右肘を故障しなければ、4年時は二遊間を守ったかもしれません。ただ、大学とプロとではレベルが違う。二遊間をやるとなると、かなりの時間がかかるでしょう」
■外野構想に納得していますか?
――阪神では外野起用の構想がある。監督は「内野を守ってもらいたい」と話していましたが、プロではいったん外野に専念した後、内野手に再挑戦することは難しい。
「内野から外野に転向するパターンはあっても、外野から内野へコンバートされて成功したケースは、かつて左翼から三塁手になった巨人の高田繁さんくらいしか思い浮かびません。ただ私自身、プロに行った教え子から、プロの厳しさについて話を聞いています。『内野、内野』と言っても、そんなに甘い世界ではないと思う。阪神の矢野監督は指名挨拶の際に『外野として考えている』とおっしゃっていましたし、打撃の部分で非常に期待していると思う。大学でも最初は外野からスタートしたように、まずは使っていただけるポジションで結果を残すことが最優先だと思います」
――本人は外野起用について納得している?
「それはもちろんです。来年の新人合同自主トレでケガなくやれるように、今後も大学で練習を継続していきますが、外野でノックを受けるなど、準備を進めています」