鶴竜が5場所連続休場…「引退勧告」覚悟で現役続行の事情

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 これで5場所連続の休場となる。14日に初日を迎える春場所(両国国技館)を休むことになった横綱鶴竜(35)のことだ。

 陸奥親方(元大関霧島)によれば、9日の稽古中に左足を痛めたという。どうやら太ももの肉離れらしい。

■パンと音がした

「パンと音がしたそうです。四股が踏めない状態。ここで辞めてもいいんじゃないかと話したが、本人はまだやりたい、(現役を)続けたい気持ちが強かった。気持ちは切れていない。引退勧告? それは覚悟している。それを聞いてから本人と話さなきゃならない」(陸奥親方)

 鶴竜は昨年の11月場所後の横綱審議委員会(横審)で「注意」を決議された。それでも1月場所を腰痛でパス。春場所に進退をかけるはずが、その春場所も休場する。さすがにかける「進退」も尽きたと思ったら、この期に及んでまだ現役にこだわっているのだ。

 昨年12月に日本国籍を取得して、いつ引退しても親方になることができる。最大の障害をクリアしたにもかかわらず、現役にしがみついているのはなぜか。

■イス取りゲーム

「年寄名跡、つまり親方株の問題でしょう」と、ある親方がこう続ける。

「鶴竜の夢は自身が入門した井筒部屋の再興です。そのためには井筒の株を取得しなければならないが、現在は時津風部屋の部屋付きをしている元関脇の豊ノ島が井筒を名乗っています。雀荘や風俗通いで退職した時津風親方の後を元前頭筆頭の土佐豊が継いだことで、それまで土佐豊がもっていた間垣の名跡があいたが、すでに後釜が内定。どうやら白鵬が取得するらしい。つまり親方株はあきがないうえに、イス取りゲームよろしく、親方株欲しさの力士たちがウの目タカの目であきそうな名跡を狙っているのです。横綱は引退後、5年間は現役時代の四股名で親方になれる特権がある。当面は鶴竜親方として所属する陸奥部屋の部屋付きになり、5年の間に名跡を手に入れれば部屋をもてますが、取得できる保証はどこにもない。なので名跡を手に入れるメドが立つまでは、現役を続けたいのでしょう」

 とはいえ、度重なる故障で、もはや鶴竜の体は限界に近い。横審に「引退勧告」を食らってまで現役にしがみついたところで、「いまの鶴竜の体で相撲を取れるのはあと1、2場所」(前出の親方)とか。

 あと1、2年、相撲を取れるならばともかく、1、2場所では名跡にあきがない状況に変わりはない。

「現役生活に自身で区切りをつけたいだけではないか」と、さるマスコミ関係者はこう言う。

「5場所連続休場に加えて、横審からは注意処分を受けた。このまま引退してしまったら、それこそ何もしないまま周囲に辞めさせられたことになってしまう。本人はケガさえ癒えれば現役を続けられると本気で思っているだけに、体調を万全にしたうえでもう一度相撲を取り、それでもダメならそのときこそ身を引くつもりなのでしょう。つまり、もう相撲は取れないと自覚するまでは現役を続けたいのです」

 年寄名跡の問題にしても、現役生活に自身でケジメをつけたいという願望にしても、結局は私利私欲だ。

横綱の月給は300万円

 過去に横審から「引退勧告」を食らったのは暴行問題を起こした2010年の朝青龍ひとり。鶴竜は彼に続く2人目になることも覚悟して現役にしがみつこうとしている。

 晩節はすでに思い切り汚しているが、そんなことはお構いなし。横綱として月300万円の給料ドロボーで居続けることになる。

 フツーなら師匠がクビに縄を付けてでも引導を渡すところだろうと思いたくもなるが、「鶴竜は陸奥親方が育てた弟子ではない。19年9月場所中に井筒親方(元関脇逆鉾)が急逝。それに伴い、鶴竜を含めた3人が陸奥部屋に転属することになった。このとき鶴竜はすでにバリバリの横綱ですからね。陸奥親方にしてみれば鶴竜に対して強いことは言えないのですよ」とは前出の親方だ。

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