撤退続々…マラソン日本の「固有財産」を潰した真犯人は?
それは重々承知だが、陸連は日本のマラソンを継続するためにどんな努力を払ったのか。エリートマラソンは、オリンピックや地域オリンピックを除けば日本特有のイベントで、女子マラソンとともに日本のマラソン熱を象徴した。地上波で完全中継する国は他にない。すなわち、日本人にとってマラソンは走るだけでなく、見て、読んで、語って、応援して……マラソンは夢と話題を老若男女が分かち合う“固有財産”だった。
■ダメになったらポイ
びわ湖毎日も福岡国際も、そもそもは金栗四三の全国マラソン連盟が始め、1964年の東京五輪におけるオリンピック人気を見て陸連が乗り込んできたのだ。ダメになったからポイはない。
最後のびわ湖毎日では鈴木健吾が日本記録を更新し、それは大きな躍進に違いない一方で、いまや右も左も時計を相手にしたマラソンになってしまった。主催新聞社、日本陸連の無策だけは指摘しておきたい。
現在のマラソンを代表する「世界メジャー6」は、男女混合の大衆参加型で、日本での開催は東京マラソン以外には無理だ。大会を仕切る国際的な人材がいない。海外に倣うのではなく自分たちのマラソンを追究できなかった。
周回コースを使ったエリートのプロサーキットなどで、大迫傑、鈴木健吾、服部勇馬らの対決を演出することは模索できなかったのか。プロ興行を仕切るような人材もいないのだろう。私たちの財産を潰すのだということを自覚して欲しい。