大関復帰の照ノ富士に「土俵の地盤沈下」食い止めへの期待
久々の「強い大関」誕生だ。
3月31日に伝達式に臨み、正式に大関復帰を果たした照ノ富士(29)。「もっと稽古に精進して、上を目指したい」と、最高位も視野に入れている。
気がかりはもちろんヒザのケガだ。両ヒザに分厚いサポーターをつけ、伝達式でも正座ができなかったほど。仮に横綱に昇進しても、短命に終わる危険をはらんでいる。
しかし、強い上位力士の存在は今後の土俵を考える上でプラスだ。芝田山広報部長(元横綱大乃国)も「照ノ富士は3人の大関より抜きんでている」と話したように、朝乃山、正代、貴景勝の3大関は安定感がイマイチ。正代は来場所カド番で、他の2人も3月場所は10勝5敗だった。彼らと比べても照ノ富士の力が抜けているのは間違いない。
近年は新弟子の数が減少している。最盛期は年間200人を超える入門希望者がいたが、近年はその半分以下。去年、今年はコロナ禍の影響もあったとはいえ、コロナ以前の2019年も年間70人だった。
競技者が減れば競技レベルも下がるのは相撲も同じ。それでも実力のある力士が上にいれば、全体の引き上げにつながる。かつて横綱白鵬は「下の者の壁になる」と豪語していたが、数年前から地位にしがみつく名ばかりの横綱に。だからこそ、照ノ富士は「壁」としての役割を期待されている。