“2日天下”に終わった欧州スーパーリーグ構想の深層<下>
サッカー月刊誌「カルチョ2002」の編集長に就いた2001年、スペインに渡った。当地のサッカー週刊誌「ドンバロン」と提携してラ・リーガに特化した専門誌を創刊しようというプランがあった。
しかし、結論から言うと提携話は断られた。1975年創刊のドンバロンは、オーナーにとって「ビジネスではなくて趣味でやっている」というのが、その理由だった。
彼はディナーを終えると我々を近くにある大きなバル(居酒屋)に案内した。営業はすでに終了しているようだったが、テーブルは片隅に集められ、20人近い男女が思い思いの楽器を持って待っていた。そしてスペインの民族音楽でもてなしてくれた。
「ドンバロン」のオーナーがこう言った。
「自分は若い頃、サッカーのプロ選手かミュージシャンになりたかった。しかし、両方ともその夢は叶わなかった。今(バルセロナに本拠を構える)エスパニョールのオーナーと楽団のオーナーを兼務しているのは、自分が果たせなかった夢を支援したいからだ。だからドンバロンの提携も断った」とのことだった。