“2日天下”に終わった欧州スーパーリーグ構想の深層<下>
楽団はもちろんプロで、世界各国を回って演奏しているという。この日はたまたま練習日だったので、オーナーが招待してくれて我々は貴重な体験ができたのだった。
エスパニョールは2016年に中国の玩具メーカーが買収したが、2020/2021年シーズンは最下位に終わり、2部に降格してしまった。「ドンバロン」も2011年、経済危機と主任編集者のスキャンダルで廃刊になっている。
こうした歴史的な背景を鑑みるに、スペイン・リーグのオーナーというのは、パトロン気質が多分にあるような気がする。「クラブは自分の所有物」という感覚だ。
■イングランドとスペインの歴史的な背景の違い
同じことは、ルネッサンス発祥の地イタリアにも当てはまる。
ユベントスはアンドレア・アニエリ会長を始めとするアニエリ・ファミリーの持ち物であり、ACミランはメディア王と呼ばれ、元首相でもあるシルビオ・ベルルスコーニ現名誉会長の私物という印象が強い。
ちなみにアニエリ・ファミリーはトリノに本社を置く巨大産業を経営しており、自動車のフィアットを筆頭に鉄道、船舶、航空機などの製造を手掛けている。自動車はアルファロメオ、ランチア、アバルト、マセラッティなども傘下に収めている。