著者のコラム一覧
藤井瑞希バトミントン選手

1988年、熊本県出身。青森山田高3年時に1学年後輩の垣岩令佳とダブルスを組み、インターハイ優勝。シングルスと団体も制し、25年ぶりの3冠達成という快挙を果たした。垣岩と出場した2012年のロンドン五輪女子ダブルスで銀メダルを獲得。日本バドミントン史上初となる表彰台に立ち、「フジカキ」として一躍脚光を浴びた。19年に引退。東京トリップ所属。

フジガキのコンビネーションが合い始めたのは本番の1年前だった

公開日: 更新日:

 バドミントンに限らず、ペアを組む競技はお互いの相性が重要です。

 競技生活を振り返ると私は、パートナーに恵まれました。高校の後輩である令佳はひとりの人間として好きでした。昔から気が合って、現役時代にケンカしてペアを解消したとしても、引退後は仲良く付き合えると思っていました。

■「解散した方がいいのかな」

 コート上で主導権を握っていたのは年上の私でした。私たちの目標はロンドン五輪出場で一致していたとはいえ、2人の性格の違いに随分と悩みました。私はメンタルが強い方で気持ちで引くことはなかった。一方、令佳は私よりも闘争心がありながら、1つのミスを引きずって3~5点を取られてしまうタイプでした。殻に閉じこもって自分で自分を追い詰めることも多かった。

 私は2人で五輪を目指しているのだから、先輩、後輩関係なく、意見を出し合ってペアを築きたいと考えていました。「令佳と私の意見をすり合わせて、いい方向に向かおうよ」と口を酸っぱくして言ってきましたが、令佳の答えは決まって「先輩だから言いづらい」。

 令佳のことはひとりの人間として大好きなので、ケンカしたくはありません。これ以上、衝突して関係が悪くなるのを避けたかったため、「解散した方がいいのかな?」と話したこともありました。

■監督にダブルス転向を直訴

 2人で目指すと決めた以上、途中で投げ出すわけにはいきません。ロンドン五輪出場は使命だと位置付けていました。実はルネサスの今井彰宏監督(当時)からはダブルス転向を反対されていたのです。今井監督は私をロンドンはシングルス、リオはダブルスで出場させようという青写真を描いていたようですが、セカンドキャリアを考えれば私に残された時間は少ない。何よりも、2種目を並行して練習すれば、どちらも中途半端になるのが嫌でした。監督にはダブルスに専念させてくれるよう、頼み込んで納得してもらったのです。自らダブルスを志願しただけに、簡単に諦めるわけにはいきませんでした。

 令佳とかみ合ってきたのはオリンピックレース(世界ランキングによる選考期間2011年5月2日~12年4月29日)が始まる頃だったと思います。ペア結成してから3年ぐらいかかりました。

 もっとも、高校からペアを組んでいる選手が多い中、本格的にダブルスに取り組み、わずか3年で五輪まで出場するのはかなり珍しいケースです。私たちはお互いに技術が不足し、一人一人の力は0.8ずつしかないけど、フォローし合って2にしようと取り組んできたことが結果に結びついたと思います。

 そして令佳同様、高校の同級生には、わたしにとってかけがえのない存在がいます。 =つづく

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    松本人志は「女性トラブル」で中居正広の相談に乗るも…電撃引退にショック隠しきれず復帰に悪影響

  2. 2

    中居正広はテレビ界でも浮いていた?「松本人志×霜月るな」のような“応援団”不在の深刻度

  3. 3

    べた褒めしたベッツが知らない、佐々木朗希"裏の顔”…自己中ぶりにロッテの先輩右腕がブチ切れの過去!

  4. 4

    フジテレビ労組80人から500人に爆増で労働環境改善なるか? 井上清華アナは23年10月に体調不良で7日連続欠席の激務

  5. 5

    ついに不動産バブル終焉か…「住宅ローン」金利上昇で中古マンションの価格下落が始まる

  1. 6

    露木茂アナウンス部長は言い放った「ブスは採りません」…美人ばかり集めたフジテレビの盛者必衰

  2. 7

    中居正広「華麗なる女性遍歴」とその裏にあるTV局との蜜月…ネットには「ジャニーさんの亡霊」の声も

  3. 8

    和田アキ子戦々恐々…カンニング竹山が「ご意見番」下剋上

  4. 9

    紀香&愛之助に生島ヒロシが助言 夫婦円満の秘訣は下半身

  5. 10

    フジテレビにジャニーズの呪縛…フジ・メディアHD金光修社長の元妻は旧ジャニーズ取締役というズブズブの関係