東京五輪ほぼ収穫なし スカウトの評価を上げたのは巨人のメルセデスだ
日本が全勝で金メダルを獲得した五輪の野球は、米国にいる我々メジャー球団のスカウトもテレビ観戦した。
結論から言うと、収穫はほとんどなかった。つまり五輪が終わった段階で、かつての田中(現楽天)やダルビッシュ(現パドレス)のような大型契約を保証できそうな選手はひとりもいないということだ。
投手ではソフトバンクの千賀、野手では広島の鈴木が最大の注目選手だった。
千賀は春先に左足首の靱帯を損傷。160キロ超のストレートに加えて落差の大きなフォークがある。潜在能力が高いのは分かっているだけに、問題はケガの影響というか後遺症だ。7月上旬に復帰して自己ワーストの10失点。五輪では決勝も含めた米国との2試合に登板して無失点だったものの、計3イニングのリリーフ登板だけでは正当な評価はできない。状態はまだ万全ではないのだろうし、五輪終了後の二軍戦で打ち込まれたと聞いた。
鈴木は予選リーグで力みまくり。4番打者の重圧があったのかバットを振り回していたが、米国戦で本塁打を打って吹っ切れたのだろう。決勝戦ではコンパクトなスイングでつなぎの打撃を心掛けていた。とはいえ、五輪の成績が18打数3安打(.167)というのはいかにも物足りない。今季の前半戦は打率.306、15本塁打。後半戦は打率も本塁打も抜けた数字を残してもらいたい。