“愛されキャラ”臥牙丸さん 200kg超の体躯を誇ったジョージア出身小結の引退後
臥牙丸さん(34歳/元小結)
12日に開幕した大相撲9月場所。白鵬の休場、新横綱・照ノ富士の活躍など話題に事欠かない。本日登場の臥牙丸さんは、昨年11月場所を最後に、15年間の力士生活にピリオドを打ったジョージア出身の元小結。明るいキャラクターと屈託のない笑顔でファンは多かった。さて、今どうしているのか?
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「現役時代から、僕の“足”と言えばこれです。自宅近所のスーパーへの買い物にも便利ですし、上野や浅草、日本橋あたりはしょっちゅう行ってます」
愛車はブリヂストンの「アルベルトe」。リムやスポークが強度の高いステンレス製のため、体重150キロの臥牙丸さんでも平気なのだそうだ。
「現役時代は210キロほどありましたが、今年3月からダイエットに取り組んだところ60キロほどダイエットすることができました。以前着ていた服がブカブカになったので、下着も含めて全部、新調しましたよ。アハハハ」
ウオーキング10キロ、1日当たり1500キロカロリー内を目標に、ご飯は1日1食・150~200グラムに制限し、野菜や魚が中心の食事だそうだ。
■ラーメン替え玉13人前やキロ単位のアイスクリームは“封印”
「大好物のアイスクリームや、替え玉13人前の記録もある豚骨ラーメンは我慢我慢。でも、おかげさまで体が軽くなって動きやすいし、膝の古傷の痛みが和らぎ、体調はバッチリ。インスリン注射が手放せなかった糖尿病もすっかり治ったんですよ」
ところで、引退後は何を?
「大阪に本部がある一般財団法人日本相撲振興財団に所属して、大相撲発展のお手伝いをしています。今は新型コロナのため開店休業中ですが、いずれインバウンド相手に相撲イベントやツアーをやれたらいいな、と思っています。それと講演会やテレビ出演などのタレント業ですね」
3月に都内高円寺でトークイベント「帰ってきた抱きしめてツナイト vol.02」を開催したほか、7月場所ではABEMAの大相撲中継に解説者としてゲスト出演した。
「話すことはできるのですが、日本語を書けないので、今、両国にある日本語学校で平仮名・カタカナや漢字を学んでいます。同級生は20代前半ばかりですけど、勉強に年齢は関係ないですね」
コロナ禍で断髪できず髷は結ったまま
さて、東欧・ジョージア生まれの臥牙丸さんは、幼いころから柔道と格闘技・サンボの道場に通って頭角を現し、18歳だった2005年7月、両国国技館で行われた世界ジュニア相撲選手権にジョージア代表として出場。個人無差別級で3位、元大関・栃ノ心がチームメートだった団体戦では2位という好成績を収めた。
それをきっかけに相撲関係者に声をかけられ、日大相撲部を経て木瀬部屋に入門。同年11月場所に初土俵を踏んだ。
「ジョージア出身では、ヨーロッパ出身初の関取で元小結の黒海関が活躍していましたから興味はありました。でも最初は関取になれるなんて思ってもいなかったですよ」
入門時は身長187センチ、体重150キロの恵まれた体躯。翌06年1月場所に7戦全勝で序ノ口優勝し、同年11月場所で幕下に昇進した。体重はアイスクリームをキロ単位で食べるうちに200キロに。
相撲界屈指の巨体を生かした押し相撲を得意として、10年1月場所で十両優勝。そして12年3月場所に小結に昇進した。
だが当時、220キロまで増えた体重がアダとなって膝を痛めるなど故障がちに。一進一退を繰り返し、昨年11月場所を最後に土俵を去った。生涯戦績は516勝538敗32休。序ノ口、幕下、十両でそれぞれ優勝1回。敢闘賞を2回受賞した。
新型コロナで断髪式ができていないのが心残り。髷を結ったままなのはそのためだ。
「僕は外国人が苦手な納豆も梅干しも平気で食べられますし、日本の生活も大好き。ジョージアには帰国せず、日本で骨をうずめるつもりです。結婚? 日本語をマスターしてもっと稼げるようになったら考えます」
なお9月23日、NHKで放送予定の情報番組「1ミリ革命」(19時30分~20時15分)の自転車特集に、愛車とともに出演。安全な乗り方をリポートする。
(取材・文=高鍬真之)