「まだ早いので」と辞退 大谷翔平に見る国民栄誉賞の巧妙な断り方
大谷翔平が国民栄誉賞を辞退した。
国民栄誉賞とは、「時の人に対して国民が授ける栄誉の賞」ということか? どこのどいつが名付けたか知らんが、余計なお世話もはなはだしい。国民を軽々しく使ってもらっちゃ困る。「政権人気V字回復祈念賞」が正しい。新語・流行語大賞「ショータイム」受賞の副賞付き。何を今さら。ケッ!
国民と名付けるなら、国民の総意に基づく必要がある。国民の代理を任された立法府、国会で決議せよ。全会一致で可決したのであれば「恐れ多いことながら」襟を正して受けもするだろう。
過去のプロ野球選手で、メジャーリーグ挑戦への道を切り開いた野茂英雄には、なぜ授与しないのだ? それはね……、日本プロ野球を裏切ったやつにやるなんざとんでもない、という裏の力が動いたに違いないとオレは思っている。
松井秀喜がなぜ受けたのか? それはね……、親会社と親しい時の政権の強引さに押し切られ、師匠である長嶋茂雄の介添えを兼ねて、ま、師匠が喜ばれるならお受けしますと、松井らしい誠実さで受けたに違いないとオレは思っている。
3度拒否したイチロー
イチローが小泉政権から2度受賞を打診されたが、
「引退した時にいただけるように頑張りたい」
それでは、と現役引退した時に安倍政権から打診されたら、
「人生の終わりにいただけるよう励みます」
完全に時の政権のほうがおちょくられている。
大谷は「まだ早いので辞退させていただきます」と言った。
お上が授ける賞を断るとはなんたる無礼者! と本気で怒るやつらも、政府の人気取りに利用されるなヨ、と思っている(オレのような)やつも、「まだ早いので」という理由ならどちらも怒らない。実にうまい。
岩本勉よ、野球評論ではなく芸人として笑いを取りたいなら「国民栄誉賞とは名ばかり、権力の人気取りのために利用される賞を受けることで生じる微妙な立ち位置のブレをヒョイとすり抜ける大谷翔平に拍手!」とやれば滑るまい。
「まだ早いので辞退させていただきます」の前文をつまびらかにしておく。
「選挙に勝ったとはいえまだ何もしてないくせに、てめえの支持率を維持するために人の稼いだ点数まで自分に加点しようとするなんて、あんたにはまだ早いので辞退させていただきます」
おわかりいただけましたでしょうか岸田総理?