<14>オランダのドーピング検査場の冷蔵庫にハイネケンがあったワケ
1月10日は成人の日。私が成人したのはもう30年前になる。当時は富士急行の会社員だったが、スケートはシーズンの真っ最中。国内遠征中で会社の成人式には参加できなかった。その代わりにと、橋本聖子さんにお願いして一緒に写真館で記念写真を撮ってもらったことをよく覚えている。私は深緑色の振り袖、聖子さんは青色のスーツ。写真を撮った後はハイランドリゾートホテルの12階でフレンチのコースを食べたが、聖子さんがいたので緊張して味はまったく覚えていない。
■二日酔いで優勝した選手も
成人といえば、お酒が解禁になる。1993年の八戸国体に出たとき、同い年の男子選手が優勝した。「おめでとう!」と言いに行くと、酒クサっ! 聞くと、前日の夜に飲み過ぎたらしい。見るからにヘロヘロで二日酔いだったが、それでも優勝するからすごい。
今は意識が高くなって、アスリートが大会中にお酒を飲むなんて考えられないかもしれない。でも長距離種目の場合、筋肉の痛みや乳酸の蓄積が酔いで麻痺して思わぬ力を発揮することもある。集中力と瞬発性が求められる短距離では絶対に無理だが。彼の場合、一種のドーピングのような感覚でその選手にはお酒が良い効果をもたらしていた。