阪神10戦目でようやく今季初勝利…矢野監督「途中解任」を否定した藤原オーナー発言の裏
表情は硬いままだった。
阪神が5日のDeNA戦で10試合目にして今季初勝利。矢野燿大監督(53)は試合後、目を充血させながら「苦しいスタートになったので、この1勝で喜んでいいのか、という気持ちもあるが、素直に喜びたい気持ちもあります」と、複雑な心境を吐露した。
ひとまず連敗がストップしたとはいえ、1勝9敗の借金8。昨季まで在籍していたスアレスに代わる抑え投手が固定できていないばかりか、多くの助っ人選手が戦力として機能していない。ここから巻き返しを図るのは一筋縄ではいかない。
「最後までやってもらう」と言うしかない
その阪神で、「球団総帥」の発言が波紋を広げている。4日、藤原崇起オーナーが報道陣の取材に応じ、今季限りでの退任を表明している矢野監督の去就について、「当然」とシーズン終了まで託すことを明言。「今後も同じやり方でいいと思う」と、巻き返しを期待した。
これから白星を積み重ねていけば、矢野監督が最後まで指揮を執るのは当然だが、阪神OBはこう言う。
「そりゃ、オーナーだって、最後までやってもらうと言うしかない。今季の低迷は矢野監督がキャンプイン前日に退任表明をしたことが裏目に出ているが、それを容認したフロントも同罪ですからね。チームがこのまま低空飛行を続ければ、6月に予定されている親会社の阪急阪神HDの株主総会は大荒れ必至。総会までに何らかの手を打たざるを得ない。休養という名目での途中解任も視野に入ってきます。今、『最後までやってもらう』『同じやり方でやってくれ』と言っておけば、クビを切った際に、『フロントは矢野監督を精いっぱい引き留めたんですが……』と言い訳が立ちますから」
いくら1勝したところで、矢野監督が徳俵に足がかかっていることに変わりはないということだ。