テキサス州で銃乱射事件が起きても…米球界が規制推進に積極的にならない決定的理由
米テキサス州ユバルディの小学校で児童19人を含む21人が死亡した銃乱射事件は、「銃社会・アメリカ」の暗部を改めて浮き彫りにした。事件の発生を受け、連邦議会では上院議員のクリス・マーフィーが演説し、「われわれは何をしているのか」「われわれは何のためにここにいるのか」と繰り返し、銃規制への無策を批判した。
これまでも連邦政府による銃規制の推進を求めながら、全米ライフル協会(NRA)を筆頭に各種のロビー団体の厚い壁に阻まれてきたマーフィーの演説は実感のこもったもので、米国内外から多くの共感の声が寄せられた。
また、大統領のジョー・バイデンもツイッターに「今こそ、この苦痛を行動に移す時だ」と投稿し、連邦議会でも「いつになればロビー団体に立ち向かうのか」と議員たちに奮起を促している。
だが、NRAのようなロビー団体だけでなく、銃器産業とは関係のない一般市民の間でも、「人民が武器を保有し、また携帯する権利は、これを侵してはならない」という米国憲法修正第2条の条文を根拠に「銃の所持は固有の権利」と考え、あるいは「自衛のために銃は不可欠」という考えは珍しいものではない。そのため、今回のような銃乱射事件が起こるたびに人々は事件が起きた現場で哀悼の意を捧げるものの、銃規制の話題となると多くの人が消極的な態度を示すのである。