“コロナ禍入学”の高校球児を待つ超酷暑…練習量半減で熱中症リスク高まる 高野連の対策は?
高野連に対策を聞くと…
20年以降はコロナ禍で部活動が休止となるケースが続出。同年春、夏の甲子園は中止になるなど、試合の機会も激減した。当然、3年生以下の下級生もコロナ禍の影響を受けている。
「不慣れな炎天下でプレーをする日数が必然的に増えます。体力の消耗は避けられず、地方大会の優勝校は満身創痍で甲子園に臨むことになる。熱中症に加え、どんなアクシデントが起こるか……」(前出の美山氏)
地方大会はもちろん、8月の甲子園では、熱中症対策が大きな課題になることは間違いない。日刊ゲンダイが主催の日本高野連・小倉好正事務局長に問い合わせると、文書でこう回答した。
「全国高校野球選手権大会は、甲子園での大会では開会式の途中に全員で水分補給する時間を設けたり、冷水を入れたペットボトルを手に握るなど、多くの暑さ対策をとっています。また気候に応じて、試合終盤に休憩時間を取るなど柔軟な運営をしています。医師や、多くの理学療法士が球場に常駐し対応している甲子園での対策のほか、各都道府県で工夫されていることを共有し、各地で暑さ対策を講じていきます」
地方大会についてもガイドラインを配布した上で、「これまで、十分な対策をとってもらうよう主催者から通知を出すなどしてきました。今年もそうした通知を出す予定です」とした。
コロナ禍での練習不足による体力強化、成長度の遅れに関しても、「十分に配慮し、万全を期していきます」という。
20年春の公式戦からスパイクの色について、「黒の原色」としていたルールを改正。熱がこもりにくい白色も可とした。今年の地方大会では具体的にどんな対策を講じるのか。
小倉事務局長によれば、暑さ対策の助成金として、各都道府県大会(東京は西と東、北海道は北と南の計2大会)へ各18万円、コロナ対策費の各20万円と合わせて計38万円を補助する。
大会運営に関しても、一部試合をナイター開催。決勝戦の開始時刻を午前10時に変更した。ベンチに扇風機やミスト扇風機を設置し、ベンチ内でのうちわの使用を許可する、などとしている。
各都道府県の高野連もこれまでの対策に加えて、新たな取り組みを行う予定だ。東京都高野連は開会式の開始時間を昼から午前中に変更し、球児らに塩あめを配るという。観客のマスク着用も強制しない方針。大阪府高野連は、マネジャーやボールボーイのマスク着用を当日の気候などに応じて外すことを認める方向だ。
真夏の真っ昼間に屋外で野球をやる以上、やれることは限られるとはいえ、くれぐれも大事に至らないことを祈るばかりだ。