鹿島アントラーズ監督就任も「寝耳に水だった」
2021/22年シーズン途中でタイ1部の強豪ブリーラムユナイテッドの監督に引き抜かれた石井監督は、期待に応えてリーグ優勝を果たした上にFA杯とリーグ杯も制し、日本人として<海外リーグで初めて3冠を達成した指揮官>という称号を手にした。
■近代的なスタジアムが自慢
「(首都バンコク市内が本拠の)サムットプラーカーンシティの監督時代は、車で40分ほどのバンコク郊外のコンドミニアムに住んでいました。車を貸与してもらい、運転手も付けていただきました。目の前に大きなショピングモールがあり、そこで日常的な買い物を済ませました。コンドミニアムの家賃は2.3万バーツ(当時の日本円にして7万6000円)。オーナーから『3万バーツまで家賃を出します』と言われましたが、もともと贅沢をするタイプではありませんし、家族がタイに来た時にショッピングモールが近いと便利と思って決めました。移籍先のブリーラムは、バンコクから北東に約400キロ離れ、カンボジアと国境を接しているエリアですが、3万2600人収容の近代的なスタジアムが自慢です。是非タイに足を運び、試合を見ていただきたいと思います」
ブリーラム出身の政治家ネーウィン・チットチョープ氏が2009年、バンコク北部アユタヤのクラブ「PEA」を買収して本拠地移転。2011年にスタジアムを新設するなど巨額の資金を投入してチームを強化。2013年アジアCL(アジア・チャンピオンズリーグ)でベスト8まで勝ち進み、タイでは全国区人気を誇っているチームである。
■カネも出すけど口も出す
「オーナーは『カネも出すけど口も出す』というイメージを持たれていますが、その通りです。しかし、サッカーにとても深い愛情を持っている人です。練習前に30分、練習後に30分以上、オーナーと私とマネージャーと通訳の4人で必ずミーティングを行います。いろいろな注文やアドバイスも受けますが、常に『最終的な判断は監督が下すもの。私は監督、スタッフ、選手たちを全面的にサポートする<ビッグ・ボス>だよ』と言っていただいています。このセリフを全体ミーティングでも選手たちに話してくれますので非常に感謝しています」
「オーナーの奥様も大のサッカーファン。試合中は熱狂的なファンと一緒に拡声器を持ってスタンドで熱烈応援。ピッチ上の私の写真をカメラで撮っていただき、試合が終わると『記念になるから』とLINEですぐに画像を送ってくれます。サッカー愛にあふれたオーナーと奥様にブリーラムユナイテッドは支えらています」