荒汐部屋の跡継ぎを打診するも…蒼国来は一度「親方にはなりません」と断った
私の誕生日は1955年3月29日。65歳になる1日前、2020年3月28日が定年を迎える日だったのですが、2日早めて26日に相撲協会を退職しました。そんな私の跡を継ぎ、蒼国来が「荒汐親方」となったのです。
中国内モンゴル自治区出身の彼が親方になるには、日本国籍を取得しなければならない。私は協会を辞める2年くらい前から、彼に「跡を継いでくれないか?」と打診をしていました。
ところが、当初、蒼国来は「親方にはなりません」ときっぱり言う。確かに国籍の変更は簡単にできるものではありません。蒼国来が継いでくれると思っていた私は、さて、どうしたものか……と困りました。
蒼国来の気持ちが変わったのは、ある場所後に中国に一時帰国してからです。両親や親戚、友人に「実はこんな話があったんだ」と聞いて回ったそうですが、10人に聞いたら10人、20人に聞いたら20人に「親方になるべき」と言われたそうです。中には蒼国来が「断りました」と言ったら、「バカじゃないのか、おまえ」と返されたこともあったとか。
周囲に説得されて、気持ちも変わったのでしょう。帰国するなり、「やっぱり私に継がせてください」と申し出てきた。