【特別インタビュー】ヤクルト高津臣吾監督「育てながら勝つ」ための組織マネジメントを語る
信頼と我慢
一軍投手コーチ、二軍監督を経て、20年に監督に就任した高津監督は22年シーズン途中、新たに23年から2年間の契約延長が発表された。就任当初から<徹底的に勝利を目指しつつ、3年後、5年後、10年後と中長期的にスワローズを見据えた育成>に取り組んできた。一軍監督として、「育てながら勝つ」という理想を追い求めてきた。
22年、高卒3年目の長岡秀樹(21)が遊撃手として139試合に出場し、ゴールデングラブ賞を獲得。飛躍を遂げた。
「すごく特殊なポジションでさまざまなことを要求される遊撃を任せて、打つ方はほとんど8番打者ですが、戸惑いながら迷いながら、先輩の姿を見ながら1年間よくやり抜いたなと。これを『よくやった』と言わなければ怒られるかもしれないしゴールデングラブを取ったのも凄いと思いますけど、何より1年間、弱音を吐かずにできたことを一番評価しています」
「育てながら勝つ」のは“言うは易く行うは難し”。選手に対する我慢と信頼が不可欠だ。
「どの選手も基本的にはやってくれると信じて起用しています。中堅、ベテランとは違い、長岡や(22年は高卒2年目の内山)壮真のような1、2年目の選手には、全力でプレーしている間は何も言いません。手を抜いたり、全力で走らなかったりというのが見えた時は注意をするし、交代させますけどね。若い選手はミスするものだと思ってます。痛いところで大きなミスをすることはたくさんあるけど、そこは割り切って。できないことはたくさんあると思って起用しています。たまにグチったりすることはありますけど、人のやることだから、うまくいかないことはたくさんある。長岡については昨季(22年)、あることで聞きたいことがあって監督室に呼んで2人で話したことはありますが、一回も怒っていません」