大谷のWBC“二刀流出場”めぐる胸三寸 栗山監督率いる侍J側とメジャー側で水面下の綱引き
大谷翔平(28=エンゼルス)は果たして、3月に行われるWBCに投打の二刀流として出場するのか。
野手としてはともかく、問題は開幕直前の重要な時期に肩肘への負担の大きい投手をやるのかという点だ。
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侍ジャパンの栗山監督は1日付「スポーツニッポン」の松坂大輔との対談で「本人が先発なのか、打つのを中心に短いイニングでいきたいのか。ここは話そうと思っています」と言っている。
日本代表に関する事業を行うNPBエンタープライズや日本ラウンドを主催する読売新聞社、それに指揮を執る栗山監督はもちろん、大谷に二刀流をやらせたいに違いない。メジャーでもトップレベルにあることを証明した大谷の投打は間違いなく客を呼べるし、大きな話題になる。大谷が日本で二刀流を実践することで、何より“実入り”が違ってくるのだ。
大谷の日本ハム入団時に二刀流の道筋をつけた栗山監督にしても、二刀流出場は願ったりかなったりではないか。戦力として大きいのはもちろん、二刀流の生みの親、大谷の投打の才能を見いだした指揮官として自身の再評価につながるからだ。
■シーズンを棒に振るような事態になれば、計り知れないダメージ
日本サイドが大谷の二刀流に積極的、というより、栗山監督の発言はすでに二刀流出場が前提のようにも聞こえるものの、エンゼルスを中心とした米球界側の空気は対照的だ。
WBCの主催は大リーグ機構(MLB)と大リーグ選手会(MLBPA)が立ち上げたワールド・ベースボール・クラシック・インク(WBCI)。メジャーの30球団が表立って、選手の派遣に反対することはやりたくてもできない。
例えば、大谷の日本代表への派遣を容認したエンゼルスのミナシアンGMは「彼を出場させない理由はない。彼が思いを達成することを願っている」とコメントしたとはいえ、内心は複雑に違いない。
主力選手、中でも主力投手が開幕直前に肩肘を酷使してシーズンを棒に振るような事態になれば、ダメージは計り知れないからだ。過去4大会と比べて今大会は、米国をはじめとする各チームともこれまで以上のメンバーをそろえている。WBCがそれだけ認知され、おいしい商売になるからだが、だからといって出来れば主力投手は参加させたくないという各球団の基本的なスタンスに変わりはない。