2023年「投打のドラ1候補」掛け値なしの評価 “流しのブルペン捕手”が徹底分析
バツグンの排気量かつ独特のクイック投法で打者のタイミングを外す
「今年のドラフトは逸材が多いですね。現時点で上位指名のくくりだと、30人近くの名前が出てきます。昨年の同時期は4~5人くらいしか見当たりませんでしたから」
こう話すのは、アマ球界に詳しいスポーツライターの安倍昌彦氏。今年のドラフトは近年まれに見る豊作ともっぱらだ。そんな中、安倍氏に投手、野手からそれぞれ1人ずつ、ドラフト1位候補を評価してもらった。
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【投手】西舘勇陽(中央大/右投げ右打ち)
花巻東(岩手)時代は3度、甲子園に出場。中大では1年秋からベンチ入りし、昨秋リーグ戦では主戦投手として7試合に先発、50回3分の2を投げ、4勝1敗、防御率1.60、49奪三振をマークした。最速155キロを誇る剛腕投手だ。
「一番の長所はエンジン、排気量が大きいところです。先発でも救援でも、スタートから150キロ前半の直球を投げ続けられる。変化球はカットボール、チェンジアップ、スプリットあたりが持ち球で、中でも140キロ台の高速カットボールが優れています。フォームも独特。走者の有無に関係なく、セットポジションからクイックのリズムで投げるから、打者は差し込まれがちになる。昨秋、この投げ方がハマり、投球に安定感が出てきました」
3年秋に成長を遂げたことで、プロの注目度はさらに上がった。
「投球フォームがハマったことで、普段から余裕を持って投げられるようになったのでしょう。球がひっかかったり、浮くことが少なくなりました。制球についても、両サイドに狙ってきちんと投げられる確率が上がってきた。この先、110キロ台のカーブやチェンジアップなど、遅い球を身につけ、より投球に緩急をつけられるようになれば、さらに素晴らしい投手になると思います。今は直球とカットボールのコンビネーションで詰まらせたり、振り遅れを誘ったりする投球スタイル。直球と変化球の差は最大で約20キロほどですから、緩急の幅を40キロ程度まで広げることができれば、より一層、直球やカットボールが生きるはずです」