大谷特需でも変わらない“WBCマネー”の闇…メジャーが収益ゴッソリ、泣き寝入りするしかないNPB
ユニホームのデザインも細かくチェック
WBCは06年の第1回大会から読売新聞グループが「東京ラウンド」の興行権をWBCIから買い取り、電通がスポンサーや放映権を管理している。読売はチケット収入などの一部を得られるし、電通もスポンサー企業や放送局との仲介手数料を得られるが、NPBにとって利益の柱となるはずのグッズの肖像権はWBCIが持っている。NPBが今大会の出場契約をする際にも、日本代表のユニホームのデザインの詳細を提出するよう求められたという。
■分配金は不公平
「NPBも、さまざまなグッズやキャラクターを利用してなんとか利益を得ようとしているが、いくら大谷のレプリカユニホームがバカ売れしたとしても、利益はWBCIに流れる。日本は13年の第3回大会を前に、日本代表のスポンサー権の譲渡や利益配分の改善を求めたが、WBCIからはゼロ回答。選手会が一度は不参加を決議するに至りましたが、その構図はずっと変わらない。交渉の余地すらないのが実情です」(前出の広告代理店関係者)
経済効果を算出した前出の宮本氏は、「日本の活躍を大いに期待していますが、日本がWBCの収益に多大な貢献をし続けている割には、NPBの負担と分配のバランスが明らかに不公平。こんなにおかしなイベントはありません」と、こう続ける。
「大谷さんやダルビッシュさんが参加するなど、日本がこれだけ盛り上がっているのに、今の運営方法ではNPBは恩恵を受けられません。収益などについても非公表としており、経営面も不透明です。日本は本気でWBCに参戦していますが、MLBはダルビッシュさんが『向こう(米国)はキャンプ、オープン戦の延長としか見ていない』と言っていたように、あくまでシーズンのほうが大事。メジャーリーガーを多く抱える米国や中南米諸国は辞退者が続出しているし、米国代表メンバーもエンゼルスからトラウトが出るとはいえ、ヤンキースのジャッジやメッツのバーランダーらスーパースターは不在。日本は米国に食い物にされているといっても過言ではありません。NPBや12球団は、こんな条件なら参加しない、と強硬姿勢に出てもいいくらいですよ」
侍ジャパンは8日、前日練習を行い、栗山監督は9日の中国戦に大谷が先発することを明言。投打二刀流で出場する。大谷は「楽しみにしている。初戦なので、チームの勢いをつけるため、初回の入りからしっかり集中して入りたい」と、意気込んだが、大谷が活躍すればするほど、MLBの笑いは止まらない。