「主将のつもりで引っ張る」岡田監督の知られざる功績 虎選手会長時代に勝ち取った裏方の好待遇
猛虎軍団が正念場を迎えている。DeNAに痛恨の3タテを喫し、今季ワースト5連敗で首位陥落。18年ぶりの「アレ」に向けてチームの立て直しが急務となっている。今こそ、指揮官のたぐいまれなキャプテンシーを発揮していくしかないが、どうする岡田彰布監督(65)。
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岡田監督は開幕前に「キャプテンのつもりでチームを引っ張っていく」と公言している。そのリーダーとしての優れた資質は広く知られ、主将を務めた北陽(現関大北陽)ではその後、学校全体の同窓会会長を今年まで10年間も務めた。早大でも主将に就いた4年時、なんと「打線のオーダーはおれが決めていたこともあったんや」と、宮崎康之監督の全幅の信頼を得ていた。
そして現役時の選手会長時代。岡田監督は入団6年目の1985年に掛布雅之からバトンを受け継ぎ、3シーズンにわたって務め上げた。同僚ナインの意見や要望を首脳陣に掛け合うなど、存在感を発揮。開幕前や日程の区切り、チームが苦境に直面した時には積極的に決起集会開催の音頭を取った。
ちなみに、岡田監督は92年から3年間、日本プロ野球選手会の第3代会長に就任し、93年には球界にFA制度を導入するため奔走。この時、折衝を繰り返した機構側の伊藤闊夫中日球団代表は「ああ見えて非常にものわかりがいい。賢い人間だね」と脱帽したものだ。
そんな、岡田監督のリーダーとしての手腕を思い起こさせる出来事が昨年暮れにあった。TBS系で放送された「プロ野球戦力外通告」。出演した元オリックスの海田智行投手(関メディベースボール学院コーチ)が、夫婦で他球団のオファーを待つ間、妻との会話の中で阪神の裏方の報酬を暴露してしまったのだ。
「阪神のバッティングピッチャーで700万円だって」「いいじゃん。だめ?」「バッピかぁ」「裏方さんてどこも同じ値段なの?」「いや。700万円は多いと思うよ」
チーム内にも波紋が広がったようだが、もちろん海田に他意はない。あくまで妻との家庭内会話の一部。巨人、ソフトバンクなども裏方の年俸は高いようだが、図らずも阪神の具体的な数字が表面化した。