「『湖』を『うみ』と読ましてもええんか」師匠の思いと弟子の力で読ませるしこ名

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 元横綱北勝海の八角親方が2日に両国国技館で還暦土俵入りを行った。東の花道に姿を現した時に観客から「北勝海!」の掛け声が飛び、「ジーンときた」という。しこ名で呼ばれるのは引退相撲以来だろうか。

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 1986年名古屋場所後の大関昇進を機に、本名の保志から改名した。出身地の北海道十勝地方にちなんで十勝海、北十勝などが候補に挙がったが、師匠の九重親方(元横綱北の富士)が10勝止まりでは困ると言って北勝海と決まった。

 67年初場所、北海道の洞爺湖に近い壮瞥町で育った13歳の少年が、北の湖のしこ名で初土俵を踏んだ。師匠の三保ケ関親方(元大関初代増位山=顔写真)が173センチ、100キロ、運動神経抜群の「怪童」にふさわしいしこ名を考えていた時、映画「湖の琴」のポスターに目が留まったという。水上勉の同名小説が原作だった。

「そうか、『湖』を『うみ』と読ましてもええんか」

「琵琶湖周航の歌」にも「われは湖の子」とあるが、一般的には読まないので、関係者もファンも面食らった。口の悪い記者たちは、仲間内でずっと「キタノコ」と呼んでいた。

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