パリ五輪代表に勇気はあるか? 川内優輝が仕掛けた“大逃げ”は日本勢メダル獲り唯一の策
悪条件を得意とする川内なら、この日の逃走劇はある程度予想できたが、若手選手は「痩せ馬の先走りだろ」と小バカにしていたに違いない。
■「力がなければ最初からいくしかない」
川内の単騎逃げはマラソンファンを大いに楽しませてくれたが、百戦錬磨のプロランナーが残したものはそれだけではない。若手にこんなアドバイスもした。
「世界では30キロ過ぎてからが勝負。今日の小山選手や大迫選手(3位)がやったような(終盤の)走りの強化をやらないと、(ペースメーカー=PMの)いないレースでは勝てない。力がなければ最初からいくしかない。若い選手にも勇気を持ってほしいし、海外に出て経験を積んでほしい」
マラソンはスピード化が激しく、男子は2時間0分台、女子も2時間11分台に突入。PMがついてのレースとはいえ、日本選手が「超大型エンジン」のアフリカ勢と真っ向勝負を挑んでもメダルには絶対に届かない。
終盤まで粘りを見せ、落ちてくる選手を拾っていく戦法では入賞が精いっぱい。五輪ではアフリカ勢を出し抜き、序盤から大逃げを打ち、最後まで粘り切るスタミナをつけるしか、今の日本勢には策がないといっても過言ではないだろう。
優勝した小山直城(27)はパリ五輪について「8位入賞を目指して頑張っていきたい」と言った。それが現実的ではあるが、マラソンファンにはあまりに夢がない話だ。
女子は鈴木優花(24)と一山麻緒(26)が五輪切符を手にした。