DeNA今永昇太には「投げる哲学者」の異名…完璧を求めることは悪いことではないが
わたしはいま、日本にいる。メジャー挑戦の可能性がある山本由伸(25=オリックス)、今永昇太(30=DeNA)、松井裕樹(27=楽天)の最終チェックが目的だ。
このうち米CBSスポーツ電子版のFAランキングで1位の大谷(29)に次いで2位に入った山本の評価が高いのは当然として、フロント幹部のひとりが盛んに獲得をプッシュするのが今永だ。
今季、奪三振数(174)、奪三振率(10.58)は、いずれもリーグトップ。与四球も少なく(148回で24与四球)、ストレートの回転数も秀逸。とにかくデータ上の数値がいいという。「メジャーでも先発として、十分期待できる」とみるものの、わたしはそうは思わない。数字に表れない部分で気になる点がいくつかあるからだ。
彼の最大の長所は以前、このコラムでも書いたように球のキレだ。それを裏付けるのがスピン量の多さで、奪三振率が高いのもうなずける。
しかし、今永は球質が軽いうえに、投げるボールに角度がない。174センチの松井の方が、178センチの今永よりまだ角度がある。松井が真上から投げ下ろしているのに対して、今永はやや腕の位置が下がる。リリースポイントが低いのだ。日本の打者以上に平均身長の高いメジャーリーガーを相手にした場合、角度のなさはマイナスになる。