立大セレクションで驚愕、先輩を差し置き「一番風呂の主」は1年生の長嶋一茂さんだった
2年時からエース。最後の3年夏の東東京大会は、4回戦でその年の春のセンバツで全国制覇した岩倉に9-7で勝利。準決勝で強豪・帝京にコールド勝ちしたことで「甲子園へ行ける」という油断が生まれた。決勝の相手、日大一には前年の秋、都大会準々決勝で敗れていたのに「今のオレたちなら勝てる」という慢心があった。結局、1-3で敗れたのは苦い思い出である。高校通算30本塁打だった。
進路はプロ一本。スカウトも挨拶に来ていたから淡い期待はあった。そんな中、高校の監督に「立教大学の練習会に行ってくれ」と言われたので参加すると、立大の関係者に「野球は申し分ない。ただ、うちは野球だけで入れないから勉強も頑張ってくれ」と言われた。うちは母子家庭だったため、学費が発生する大学へ進学するつもりはなかった。「風呂でサッパリしてから帰ってくれ」と言われ、浴室に行くと、なんと打撃投手を務めてくれた立大の1年・長嶋一茂さんが、4年生を差し置いて一番風呂に入っていた。「よお、お疲れさん」とまるで上級生のような風格で度肝を抜かれた。
結局、ドラフトでプロからの指名はなかった。就職も進学も決めていなかったため、途方に暮れていると、社会人の東芝府中が1枠を増やして拾ってくれた。高校時代はエースだったが、投手の走りまくる練習が嫌いだったので打者を選択。高卒1年目の夏から4番を任された。