「教わったことをすぐ覚えちゃうのがすごいネ」師匠の元関脇高見山が驚いた曙の本当の強さ
元横綱の曙太郎さんが亡くなった。身長2メートル、体重200キロを超す巨体と突き押し、のど輪の破壊力はずっと語り継がれるだろう。
だが、それだけで序ノ口から18場所連続勝ち越しの歴代1位記録や、同期の「若貴」より早い大関、横綱昇進は成し得なかった。
1990年秋場所、ともに新入幕で対戦した若花田(のち若乃花)に頭をつけられても、左上手を引き付け、足を飛ばしたり上手投げを打ったりして先に攻め、最後は差し手を抜いて寄り倒した。
初優勝した92年夏場所の貴花田(のち貴乃花)戦も、左前まわしをつかまれながら、おっつけて右を差し、腕を返して寄り倒した。組んだら相撲にならないようでは綱を張れない。横綱昇進後、白星の決まり手は寄り切りが最も多かった。
若手の群雄割拠が始まり、まだ四つ相撲が多かった時代に稽古でもまれ、みるみる四つ相撲を身につける曙に、師匠の東関親方(元関脇高見山)が目を細めた。
「曙は教わったことをすぐに覚えちゃうのがすごいネ」